易経(えききょう)は今から三千年以上前に中国で成立した、世界最古の哲学書のひとつです。宇宙のあらゆる現象は陰(いん)と陽(よう)という二つの対極する力の相互作用によって成り立つという考えを基本とし、六十四の卦(け)と三百八十四の爻(こう)を通じて、変化の法則と人間の在り方を説いています。孔子もその深さに感銘を受け「韋編三絶(いへんさんぜつ)」、すなわち本の綴じ紐が三度切れるほど読み返したと言われています。
六十四卦は、陰爻(─ ─)と陽爻(───)を六本重ねた図形であり、それぞれが宇宙の特定の状態や変化のパターンを表します。例えば、最初の卦「乾(けん)」は純粋な陽の力・天・創造を表し、二番目の「坤(こん)」は純粋な陰の力・地・受容を表します。易経の核心的な教えは「易(えき)」すなわち「変化」であり、あらゆるものは常に変化し、固定したものはないという真理です。
易経を日常生活に活かすには、まず「変化を恐れない」という姿勢を持つことが大切です。現在の状況がどんなに難しくても、それは必ず変化します。良い状況も悪い状況も、すべては一時的なものです。易占い(えきうらない)では、問いを立てて卦を引くことで、状況の本質と取るべき行動の方向性を示してもらいます。易経の知恵は、時流を読み、自然の流れに乗って生きることを教えています。