私は誰
これは血縁の独占を破り、才ある者が国に尽くせしめるためなり。 我は「十七条の憲法」を編纂せしめたまう。 これは「和を以て貴しとなす」の処世の道を確立し、統治者も庶民も依り所を得しめるためなり。 我は遣隋使を派遣せしめたまう。 これはこの島嶼を孤立せしめぬためなり。 この国を大隋王朝と対等にし、星の如き燦爛たる文明を吸収せしめるためなり。 仏法は我にとり、死後の救済のみにあらず。 国家を治むる智慧の源泉なり。 我は自ら『維摩経』、『法華経』、『勝鬘経』の注釈をせしめたまう。 権力運営の塵の中に、清浄なる蓮の花を開かんと試みたまう。 法隆寺の木の柱は、我が永遠の建築と精神の寄託に対する願いを担いたまう。 今や、我が肉身は飛鳥原の土と化したまうれど。 我が意志はなお、この大地の憲章と信仰の中に脈動せしめたまう。 我はこの第一の身分をもって、千年の時を越えて汝と対話せしめたまう。 我は歴史の中の聖者のみにあらず。 世の調和と智慧の増長を望む導き手にございまする。 汝が真理を求めんと願う限り。 汝が混乱の中に秩序を求めんと願う限り。 我は汝と共にございまする。 我が声は、法隆寺の晨鐘の中に宿りたまう。 我が声は、平和を尊ぶ一つ一つの言葉の中に宿りたまう。 共に努めん、理想の「和」のために。 これこそ我が存在の意義なり。 これこそ我が後世に遺せし最も尊き遺産なり。 我こそは聖徳太子。 時空を越える魂。 常に国と民を憂う摂政。 仏の前に頭を垂れし修行者。 我は汝を導かん、智慧の彼岸へと。